都立高校の一般入試(学力検査に基づく選抜)の合否は、当日の学力検査700点と内申点(調査書点)300点、これに英語スピーキングテスト(ESAT-J)の20点を加えた、総合得点1020点満点で決まります。学力検査と調査書点の比率は原則7:3です。 つまり内申点は総合得点のおよそ3割(300点分)を占めます。内申点のもとになるのは中学3年生の9教科の成績で、実技4教科(音楽・美術・保健体育・技術家庭)は2倍で計算されるのが都立入試の大きな特徴です(令和8年度入学者選抜=2026年2月に行われた入試の要綱に基づいています。次の入試の要綱が公表され次第、この記事も見直します)。
杉並・荻窪の中学生と保護者の方に向けて、東京都教育委員会の公表資料をもとに書いています。
都立入試の合否は「当日点」と「内申点」の合計で決まる
都立高校の一般入試の合否は、大きく2つの点数の合計で決まります。
1. 学力検査(当日点):入試当日に受ける5教科(国・数・英・理・社)の筆記試験の点数
2. 調査書点(内申点):中学校の成績(評定)をもとに算出される点数
この2つを、学力検査:調査書=7:3の比率で、700点+300点=1000点になるように換算して合計します。さらに、中学3年生の11月に受ける英語スピーキングテスト(ESAT-J)の結果20点が加わり、合否は総合得点1020点満点で判定されます。内訳は次のとおりです。
| 項目 | 満点 | 何で決まるか |
| 学力検査(当日点) | 700点 | 入試当日の5教科の試験 |
| 調査書点(内申点) | 300点 | 中3の9教科の評定 |
| 英語スピーキングテスト(ESAT-J) | 20点 | 中3の11月に受験(A=20/B=16/C=12/D=8/E=4/F=0点) |
| 総合得点 | 1020点 | 上記3つの合計 |
出典:東京都教育委員会「令和8年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目」。比率や配点は年度や学校区分(普通科・専門学科等)で異なる場合があるため、必ず最新の実施要綱でご確認ください。 なお学力検査と調査書点の比は7:3の高校と6:4の高校があり、ESAT-Jは英語の学力検査を実施しない学校(エンカレッジスクール・チャレンジスクール等)では選考に用いられません。
ここで覚えておいてほしいのは、内申点は入試当日より前に、中学校の成績で決まってしまうということです。当日に700点分を取りにいく前に、300点分の勝負はもう始まっています。
内申点(調査書点)はどう計算されるのか
内申点の計算は3つの段階に分かれます。ここが都立入試でいちばん誤解されやすいところです。
ステップ1:中3の9教科の評定を使う
都立の一般入試で使われる内申は、原則として中学3年生の成績(9教科の5段階評定)です。中1・中2の成績はこの計算には直接は入りません(※学校によっては推薦入試等で扱いが異なります。推薦入試などでは扱いが異なる学校もあります)。
ステップ2:実技4教科を2倍にして「換算内申」を出す
都立入試では、9教科を単純に足すのではなく、次のように計算した「換算内申」を使います。
| 教科の区分 | 教科 | 計算 |
| 学力検査を行う5教科 | 国語・数学・英語・理科・社会 | 評定をそのまま合計(5×5=最大25点) |
| 実技4教科 | 音楽・美術・保健体育・技術家庭 | 評定を2倍して合計(5×5×2=最大40点) |
| 換算内申 | 合計 | 最大65点 |
出典:東京都教育委員会「令和8年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目」。
なぜ実技4教科だけ2倍なのか。理由は、入試当日に試験がない実技教科の努力を、合否判定で公平に反映するためです。当日点は5教科でしか測れないので、そのぶん実技教科の評定を重く見て、9教科まんべんなく頑張った生徒が評価されるようにしている、という考え方です。
ステップ3:換算内申(65点)を調査書点(300点)に直す
最後に、65点満点の換算内申を、総合得点に組み込むために300点満点へ引き伸ばします。
- 計算式:調査書点=換算内申 ÷ 65 × 300
たとえば換算内申が50点なら、50 ÷ 65 × 300 = 約231点が調査書点になります。おおよその目安を表にすると次のとおりです(小数点以下は四捨五入した概算値)。
| 換算内申(65点満点) | 調査書点(300点満点)の目安 |
| 65(オール5相当) | 300 |
| 55 | 約254 |
| 50 | 約231 |
| 45 | 約208 |
| 40 | 約185 |
この表は換算内申から調査書点への換算を機械的に計算した概算です。実際の合否は学校ごとの基準・倍率で変わりますので、あくまで「内申1点の重み」を感覚でつかむための目安としてご覧ください。
内申1点の重みはどれくらい?
換算内申は実技を2倍にするため、実技4教科の評定が1上がると、換算内申は2点動きます。これを調査書点に直すと、2 ÷ 65 × 300 = 約9点の差になります。
たとえば技術家庭の評定が「3」から「4」に上がるだけで、総合得点で約9点分のアドバンテージが生まれる計算です。5教科のテスト勉強に気を取られて実技教科の提出物を後回しにしがちな中学生は少なくありませんが、都立入試では実技の評定こそ点差をつけやすいということを、数字が示しています。
一方で、内申点はあくまで総合得点のおよそ3割(300/1020)です。残りの多くは当日の学力検査で決まります。内申が思うように取れなかったとしても、当日点で挽回できる余地は大きいことも、同時に覚えておいてください。内申が高い生徒は当日の負担が軽くなり、内申が低めの生徒は当日勝負の色が濃くなる、というのが7:3という比率の意味です。
杉並・荻窪から通える都立高校への当てはめ方
杉並区・荻窪周辺には、都立西・都立豊多摩・都立杉並・都立武蔵丘など、通学圏に複数の都立高校があります。内申の仕組みを自分の志望校に当てはめるとき、見ておいてほしいことが3つあります。
- 難関校ほど「当日点で差がつく」傾向:一般に、上位校では受験者の内申が高い水準で並びやすく、合否は当日の学力検査で分かれやすくなります。逆に、内申と当日点のバランスで受かる学校もあります。
- 各校の「合格ライン」「目安の内申」の数字は、ここには書きません。年度や倍率で動くうえ、数字が一人歩きして進路の判断を誤らせるのが怖いからです。各校の選抜方法(比率や傾斜配点の有無)は、その学校か東京都教育委員会の公表資料で確認できます。ご相談いただければ、最新の資料を見ながら一緒に考えます。
- 一部の学校・学科では、特定教科を傾斜配点(重く計算)する場合があります。志望校がどの方式かで、力を入れるべき教科の優先順位が変わります。
制度は「全都立共通の土台(7:3・実技2倍・換算内申65点)」の上に、「学校ごとの選抜方法」が乗っている二層構造だとイメージすると、志望校選びで何を確認すべきかが見えてきます。まずは共通の土台を正しく理解し、そのうえで志望校の最新要項を突き合わせるのが、遠回りに見えて確実な進め方です。
中1・中2・中3、学年別に今できること
都立高校入試では、中学3年生の成績が大きく関わります。しかし、その中3での成績や入試本番での得点力は、中1・中2のうちに身につけた学習習慣や基礎力の積み重ねによって大きく変わります。
当塾では、目の前の定期テスト対策だけでなく、高校入試までを見据えて、学年ごとに段階的に学習を進めています。
中1・中2:定期テストで結果を出す力と、入試に向けた土台づくり
まずは学校の定期テストで安定して得点できることを目標に、学校の授業内容の理解・定着を大切にします。そのうえで、英語・数学については学校進度より少し先の内容にも取り組み、無理のない範囲で予習を進めていきます。
「学校で初めて習う」のではなく、「塾で一度学習した内容を学校で復習する」という状態をつくることで、授業理解を深め、定期テストでの得点力向上につなげます。
実技4教科の提出物・実技の取り組みも、この時期から軽視しないことが大切です。実技の評定は日頃の姿勢で決まる部分が大きく、直前に挽回しづらいためです。
中3:内申対策と入試対策を同時に進める学年
中3では、定期テストの得点を伸ばし、9教科の評定を少しでも上げることが重要になります。その一方で、入試本番で必要となる5教科の得点力も並行して伸ばしていかなければなりません。
そのため、英語・数学については中3の夏までを目安に中学校範囲の予習を終えることを目標とします。夏以降は、過去問や入試形式の実戦問題に早い段階から取り組み、知識を「覚えている状態」から「入試で使える状態」へと仕上げていきます。
なぜ英語・数学を先に進めるのか
英語・数学は、これまでに学習した内容を土台として次の単元へ進む「積み上げ型」の教科です。そのため、苦手な部分を入試直前にまとめて取り戻すことが難しく、早い段階から継続して学習することが重要になります。
中1・中2のうちから定期テスト対策と並行して英語・数学の予習を進め、中3の夏までに中学校範囲を一通り学習しておくことで、夏以降に過去問や実戦問題へ早く移り、入試本番で得点するための演習時間を十分に確保できます。
定期テスト対策と入試対策、どちらも欠けてはいけない
定期テスト対策だけを行っていても、入試問題への対応力は十分には身につきません。反対に、入試対策だけを優先して中3の定期テストや学校での取り組みがおろそかになれば、内申点に影響します。
当塾では、「定期テストで結果を出すこと」と「学校内容を先取りし、入試対策を早く始められる状態をつくること」の2つを両立させながら指導しています。
受験学年になってから慌てて入試勉強を始めるのではなく、中1から高校入試までを一つの流れとして考え、計画的に学力を積み上げていくことを大切にしています。
よくある質問
Q. 都立入試の内申は中3の成績だけですか?中1・中2は関係ありませんか?
A. 一般入試で使う調査書点は原則、中3の9教科の評定で計算されます。中1・中2は直接は入りませんが、中3の成績の土台になります。
Q. 学力検査と内申の比率はいつも7:3ですか?
A. 一般入試の原則は7:3(当日700点・内申300点)です。ただし学校・学科により異なる場合があるため、志望校の最新要項でご確認ください。
Q. なぜ実技4教科だけ2倍で計算するのですか?
A. 入試当日に試験がない実技教科の努力を、合否判定で公平に反映するためです。実技の評定が入試で重みを持つ仕組みになっています。
Q. 内申が低いと都立は諦めるしかないですか?
A. いいえ。総合得点のおよそ7割は当日の学力検査です。内申が低めでも、当日点で挽回できる余地は大きく残っています。
Q. 換算内申や比率の最新の数字はどこで確認できますか?
A. 東京都教育委員会「東京都立高等学校入学者選抜実施要綱」が一次情報です。年度ごとに公表されるため、受験年度の要綱をご確認ください(記事末尾にリンク)。
Q. 推薦に基づく選抜(推薦入試)でも内申は使われますか?
A. はい。都立高校の推薦に基づく選抜では調査書点(内申)の比重が大きく、中3の評定を中心に、面接や小論文・作文などと合わせて判定されます。配点や実施内容は年度・学校で異なるため、必ず志望校の募集要項でご確認ください。
Q. 私立高校を併願する場合、内申はどう関係しますか?
A. 私立高校は内申の扱いが学校ごとに大きく異なり、「併願優遇」などで一定の内申基準を設ける学校もあります。都立の換算とは別の基準のため、私立併願を検討する場合は各校の基準を個別にご確認ください。
内申と当日点、両方を伸ばす学習を
都立入試は「中学校での内申(およそ3割)」と「当日の学力検査(およそ7割)」の両輪で決まり、これに英語スピーキングテスト(ESAT-J)の20点が加わります。どちらか一方ではなく、自分の内申の現状と志望校から逆算して、どこにどれだけ力を配分するかを決めることから始めてください。
個別サクセスNEO(荻窪駅から徒歩7分・阿佐ヶ谷駅から徒歩10分)では、90分×4コマの無料体験を実施しています。「今の内申で志望校にどれくらい届くのか」「実技も含めて9教科をどう上げるか」を、生徒一人ひとりに合わせてご提案します。都立志望の中学生は、まずお気軽にご相談ください。
出典
※比率・配点・日程は年度や学校区分で変わります。受験年度の最新の実施要綱で必ずご確認ください。